歴史
電子メールの起源
電子メールはインターネットに先行して開発された。既存の電子メールシステムはインターネットを作るに当たって重要な道具となった。最初の電子メールは1965年、メインフレーム上のタイムシェアリングシステムの複数ユーザーが相互に通信する方法として使われ始めた。正確なところは不明だがその類の機能を持つ最初のシステムとして、SDC(ランド研究所からのスピンオフで半自動式防空管制組織|SAGEのソフトウェア開発を行った会社)のQ32システムとマサチューセッツ工科大学|MITのCTSSがある。電子メールは間もなくユーザーが異なるコンピュータ間でメッセージをやり取りするための「ネットワーク電子メール」に拡張された。1966年には異なるコンピュータ間で電子メールを転送していた(SAGEでの詳細は明らかではないが、もっと早い時期に実現していたかもしれない)。アーパネット|ARPANETは電子メールの発展に多大な影響を与えた。その誕生直後の1969年にシステム間電子メール転送の実験を行ったというリポートがある
。BBN社のレイ・トムリンソンは1971年にARPANET上の電子メールシステムを開発し、初めてアットマーク|@を使ってユーザー名とマシンを指定できるようにした
。ARPANET上では電子メール利用者が急激に増大し、1975年には1000人以上が利用するようになっていた。
一般への浸透
ARPANETでの電子メールの利便性と利点が一般に知られるようになると、電子メールの人気が高まり、ARPANETへのアクセスができない人々からもそれを要求する声が出てきた。タイムシェアリングシステムを代替ネットワークで接続した電子メールシステムがいくつも開発された。例えばUnix to Unix Copy Protocol|UUCPやIBMのVNETなどがある。全てのコンピュータやコンピュータネットワークが直接相互に接続されるわけではないので、電子メールのアドレスにはメッセージの伝達「経路」、つまり送信側コンピュータから受信側コンピュータまでのパスを示す必要があった。電子メールはこの経路指定方法でいくつものネットワーク間(アーパネット|ARPANET、BITNET、NSFNET)でやり取りすることができた。UUCPで接続されたホストとも電子メールをやり取りすることが可能であった。経路は「バングパス」と呼ばれる方法で指定された。あるホストから直接到達可能なホストのアドレスを書き、そこから次に到達可能なホストのアドレスをバング(感嘆符=!)で接続して書いていくアドレス指定方式である。ITU-T|CCITTは、種々の電子メールシステムの相互運用を可能とするために 1980年代にX.400標準規格を開発した。同じ頃、Internet Engineering Task Force|IETFがもっと単純なプロトコルSimple Mail Transfer Protocol (SMTP) を開発し、これがインターネット上の電子メール転送のデファクトスタンダードとなった。インターネットに各家庭から接続するようになった現代では、SMTPベースの電子メールシステムの相互運用性は逆にセキュリティ上の問題を生じさせている。
1982年、ホワイトハウスは国家安全保障会議 (NSC) スタッフのために IBM の電子メールシステム Professional Office System (PROFシステム)を採用した。1985年4月、このシステムがNSCスタッフ向けに完全動作するようになった。1986年11月、ホワイトハウスの残りの部分もオンライン化された。1980年代末ごろまではPROFシステムだけだったが、その後は様々なシステムが導入されている(VAX A-1(オールインワン)や、cc:Mailなど)。